こだわりの話

 <br />こだわりの話

こだわりについて質問されたり話をする機会が多い。
「これに限る」とか「これでなくては」と この手の話にはつい熱が入るものである。
お客様にもこだわりの話の好きな人は多く 
持ち物の自慢話に始まり 名のある工人の話が 次から次へと尽きない。
しかし こういう人に限って物を頼むとなると 他とは違ったものを
こだわって作って欲しいと 他人に下駄を預けるような話になることがある。
おいおい そこまで言うなら自分のこだわりを人に押し付けるなよと 
こちらは逃げ腰気分になってしまう。
物を作る仕事をしていると 何事もこだわって仕事をしたり 
生活をしているように思われがちであるが とんでもない。
取るに足るようなこだわりなどは見当たらない。
色々なことがどうでもいい訳ではないが、これでなくてはダメというのではない。
衣食住どれをとってもそうである。
ノートや鉛筆なども 子供の使い残しを不足なく愛用している。
買い物も自分なりに選んで求めはするが やはり こだわりという気持ちはない。
むしろ こだわりの逸品などを 
それらしく使う自分の姿を想像するだけで気恥ずかしくなってしまう方である。
身の丈に合ったものが好きでありたいと思っている。 

この正月休みに作業靴がやぶれてきたので出掛けたついでに新調することにした。
賑やかな靴屋の店内をしばらく物色したが 
立派過ぎるものばかりが目に入ってくる。
スポーツ用のスニーカーである。
技の出番がある訳ではないのだ。
結局は またいつものズックの運動靴を買うことにした。
運動靴は僕の子供の頃から同じ姿をしている奴だ。
靴ヒモをゆるめて 足をいれてみると なぜか安心できるのだ。
「これって こだわり!!」

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